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地域デザイン学会 設立趣旨

 いまやわが国は本格的なグローバル時代に突入し、国境を越えた諸活動や人種の壁を越えた交流が積極的に行われる社会となっている。このようなグローバル社会においては、各地域で活動を行う多様な主体の意識転換や地域に関する制度及びシステムの根本的な再構築が要請される。

 グローバル化の進展に伴い、地域における活動であってもグローバルな視点を持つことが不可欠となっている。それゆえ、地域の価値を高めるためには伝統的な地域振興手法のみでは限界が見えてくる。全国各地で活動する地域の主体は、それぞれの地域においてローカルな社会や文化に深く根ざしたきめの細かい力強い活動を展開するだけでなく、広く世界の各国に住まう多様な人々からも大きな支持を獲得できるような存在になること、すなわち広くグローバルに受容される展開を指向することが求められる。つまり、多くのローカルな主体がグローバルに広く認知されかつ支持されることによって、グローバルな主体へと転換されることが期待されるのである。

 このように、今後のわが国経済社会においては、グローバルとローカルとは対抗的な概念ではなく、いわば一枚のコインの裏表のような相互に密接不可分な関係になる。すなわち、グローバルな活動はローカルに深く根ざすべきであり、同時にローカルな主体はグローバルな支持を獲得すべきであることを意味している。

 これまで、地方はどちらかというと小さくかつか弱き存在であり、それゆえ国や中央に対しては従属的な存在であると認識されてきたが、これを根本的に覆すことが不可欠である。地域とは一方的に支援されるべき対象としての地方であるといういわば弱者視点からの発想ではなく、むしろ地域は伸び悩むわが国の価値をグローバルなレベルで増大させるべき活動主体であるという強者視点からの発想に転換することが重要である。言い換えれば、わが国の各地域を広く世界に通用する地域として再構築すること、つまりそれらが県境や国境を越えてグローバルなレベルで自立できるシステムや制度の設計を行うことが必要になるのである。

 こうした大きな課題に応えるものとして期待できる戦略手法が、本学会が主張する地域デザインであり、これによってわが国の多段階の地域に見出されるローカルな価値をグローバルな価値にまで高めていくことが大いに期待されることになる。それゆえ、本学会においては、経済学、経営学、社会学、都市工学、政治学、歴史学、地政学など、実に広範な研究領域において活動する人々の英知を結集するある種のインテグレートスタディとしての地域デザイン学の確立を志向する。併せて、本学会は単に理論的な研究主体としてのみならず、同時に全国の実践活動に深く関与する実践主体としても評価されるべき組織であることを目指している。このような考え方に依拠しながら、われわれは全国に設定できる各段階かつ多様にゾーニングされる地域に関わるデザイン理論の構築と、これを踏まえた地域振興のための活動の実践を行う。

 それゆえ、本学会はこのような考え方に賛同される多くの全国の研究者、そして実務家、さらには生活者の参画を広く呼びかけていくことを決定した。そして、その上で多くの地域に存在する主体との相互連携を図りながら、地域デザインに関する多面的かつ多重的な研究活動を広く社会に対して認知させていきたいと考える。

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